まず始めに、このコラムはイロモノキャラクターをプレイするのが大好きな方はもちろん、イロモノキャラクターが嫌いな方にも読んで頂きたいと思っています。ギャグ、イロモノと聞くだけで拒否反応が出てしまう方も、だまされたと思って読むだけ読んでくださると幸いです。世の中のイロモノプレイヤー全てが、自分が楽しけりゃいいと考えも無く、もしくはセッションを崩壊させてやろうという明確な悪意を持ってプレイしているのではないという理解の手助けとなれば今回の目的は達成です。
というか、誰でもいいからとにかく読m(ry
さて、このブログを立ち上げた目的の約78.6%(当社比)を占めるコラムの執筆を始めましょう。ギャグキャラ、イロモノキャラをどうプレイするべきかを書いていきたいと思います。
なお、このコラム内では、通常ギャグキャラとイロモノキャラはまとめてイロモノ、もしくはイロモノキャラと呼ぶことにします。特別に分ける必要があるときのみ、分けて呼ぶこととします。ちなみに、昔からあるキャラクタータイプの一つであるルーニー(自分が楽しければどんなことでも進んでやる困ったプレイヤーやキャラクター)もたぶんこの中に含まれます。
あ、ちなみにこのコラムは、元々キャラクターにイロモノを推奨するシステム(
パラノイアや
ゲイシャガールウィズカタナなど)や、そもそもシステム自体がイロモノなシステム(パラノイアとか
バイオレンスとか)は対象外としてますのでご了承下さい。そういうシステムはお好きなようにプレイしてください。
私自身、イロモノは大好き(というよりもはや中毒的)です。最初はやんちゃもしましたが、最近はある程度理性的に制御できるようになりました。すると、イロモノとして作ったキャラクターでもシリアスなシナリオで主役を張ったり、一発キャラでは終わらない長く使えるようなキャラクターにもなれるということを知りました。同時に、扱いを間違えるとセッションに対して非常に危険なキャラクターとなり得ることも知りました。それらの経験から、イロモノは安易に扱えるようなものではないこと、そして上手く使いこなせさえすれば非常に面白いキャラクターのタイプであることを知り、このコラムを書く動機となりました。
私自身、イロモノへの愛着は人一倍あると自負しています。それゆえに、このコラムでは少々きつい表現もありますが、予めご了承ください。
第一回目は心得編。世に数多のイロモノは存在すれど、扱いを心得ていなければただの凶器。イロモノとはセッションを活かすものであり、決して殺すものではないことを知ってもらうための回です。
■イロモノとは銃のようなもの
イロモノキャラの破壊力は非常に高く、シリアスな場面や世界設定を一瞬にして破壊するだけの力を持っています。それだけに、心得を持たないものが扱うと非常に危険なものとなります。また、イロモノキャラはしばしば他のプレイスタイルが出来ないPLの逃げ道として使用されることがあります。逆に、心得を持った者が効果的にイロモノキャラを使えば、セッションはより大きな盛り上がりを見せ、メリハリのある展開やスリルのある展開を味わうことができるでしょう、できるはず、できるといいなぁ。
これは、銃の性質によく似ています。引き金を引くだけで状況を一変させるだけの力を持ち、力の無い者が扱っていても銃を持っているという事実だけで脅威となりえるため、銃にしか頼ることの出来ない人間も出てきます。しかし、心得の無い者が銃を使用すれば、敵味方関係なく多大な被害を及ぼします。逆に、銃の心得がある者は、より有利な状況を自分とその仲間にもたらすことが出来ます。
以上のことから、イロモノキャラは実は安易に手を出してよいものではないと言えます。
■イロモノを自覚せよ
さて、イロモノを扱う心得を詳しく説明する前に、あなたが普段プレイしているキャラクターが果たしてイロモノであるのかないのか、これを自覚する所からはじめましょう。一番手に負えないのがイロモノを本人が自覚しないでプレイするということです。手に持っているものがどれほど危険かを知らずに使い続ける事がどんなに恐ろしいことか。
ではまず、以下の項目であなたに該当するものに○をつけましょう。脳内で。
・セッション中やセッション後に、周りから自分のキャラクターがイロモノだと言われる。
・「熱血で一直線な少年」や「心の清い少女」などのいわゆるオーソドックスなキャラクタータイプはあまり好きではない。
・「実は○○だった」という設定が好き。
・自分のキャラクターの行動の結果を、みんなが笑う。
・シリアスなキャラクターをプレイしているつもりが、どんどん崩れていく。
・シリアスな場面でどうしても笑いを取りたくなる、もしくは取る。
・状況の把握やルールとデータの把握、話の大筋を読むのが苦手だ。
・あまり後先考えずに、今面白そうだと思った行動を取っている。
該当する項目が多いほど、あなたのプレイしているキャラクターもしくはあなた自身はイロモノである可能性が高くなります。あなたが自覚しているのならばともかく、自覚していなければすぐに自分のキャラクターとプレイスタイルを見つめ直してみましょう。
■イロモノの心得
それでは、イロモノキャラクターを扱う上での心得を紹介しましょう。
▼プレイヤーが一人前であってこそイロモノは扱える
これはイロモノキャラをプレイするにあたって、最も大事なことです。まともなキャラクターや普通のキャラクターをプレイできないプレイヤーは、イロモノをプレイするべきではありません。「イロモノだから何をしても許される」というのは、単なる逃げ口上にしかなりません。何をしても許されるようなキャラクターなどTRPGには存在しませんし、何をしても許されるという「甘え」た考えが、プレイスタイルの幅を狭めることになるからです。大抵、そういう人は何をして許される(と思い込んでいる)イロモノキャラに甘んじ、それしかプレイしなくなる・できなくなるからです。
「イロモノ」なキャラクターとは、「普通」なキャラクターから外れたものを言います。ですから、そもそも「普通」がどんなものかを知らずして「イロモノ」を語ることはできません。
プレイスタイルには得手不得手もありますから、どんなキャラクターでもプレイできるようにしろとまでは言いませんが、せめてシリアスなシナリオに出してもおかしくないようなキャラクターをプレイできるくらいの技量は必要です。
「この場面ではこういう行動を取るのが普通だけど、イロモノとしてはあえて違う行動を取って周りを笑わせたい」という明確な目的を持ってこそ、イロモノなキャラクターというものは生きるのです。もし、自分は大真面目に行動しているつもりなのに周りからイロモノだと言われる場合は、まず「普通の行動」「順当な選択」を勉強することが先決でしょう。
▼慎重な心
イロモノに限った事ではないのですが、イロモノキャラクターをプレイする場合に特に気をつけるべき所は、常に慎重であれということです。イロモノキャラクターはアクも存在感も強い上、周りの空気を食っていく力が非常に強いため、終始でしゃばっているとセッション自体がイロモノに染められてしまいます。
セッション自体がイロモノになってしまうことは、他のプレイヤーやゲームマスターの望む姿で無い場合があることは想像に難くないと思います。雰囲気がイロモノになると、真面目なキャラクターやシリアスなキャラクターの行動全てをギャグに塗り替えてしまうからです(ギャグの場面では、クールな対応やシリアスなセリフは逆に滑稽に見えてしまいます)。自分はイロモノという非常に強力な力を持ったものを扱っているのだということを常に意識しておく必要があります。
▼フォローは自分で考える
イロモノは得てして自分に不利な行動を取りたがる傾向にあります。目の前に罠があるとわかっているのにわざとはまってみたり、敵も味方も困惑するような行動を取ってみたり、わざと人を挑発して殴られて血を吐いて倒れてみたり、敵を攻撃するほうが明らかに有効なのに自慢の筋肉を披露して1ターン無駄にしてみたり、仲間の魔法使いの杖をこっそりふとんたたきと入れ替えてみたりと枚挙に暇がありません。これは、イロモノという性質上仕方の無い、言ってみれば必要悪です。
ですが、「イロモノである」ということは「何をやってもいい」という免罪符にはなりません。その無謀で考えの無い選択でパーティーが全滅することも、セッションが崩壊することもあるのです。そんな結果で楽しめるプレイヤーはいないでしょう。いるとすれば、それはその愚かな選択をしたイロモノキャラのプレイヤー自身です。それも、タチの悪い嫌われる部類の。
しかし、イロモノであるためには上記のような必要悪は少なからず必要です(変な文章ですね……)。一体どうすればよいのでしょう?……答えは簡単です。パーティーや他のキャラクター、他のプレイヤー、ゲームマスターに多大な迷惑をかけないように工夫すればよいのです。
例えば、予め耐久力を高めにしておいてわざと罠にかかっても深刻な被害を被らないようにしたり、意味も無く敵を挑発すると見せかけて味方の盾になったりと、やりようはいくらでもあります。
逆に、こういうフォローが自分で出来ない場合、イロモノをプレイするべきではありません。また、明らかに仲間の方が魔法に弱いのに敵味方全てを巻き込んでファイアーボールを炸裂させるなど、被害とフォローがどう見ても釣り合いません本当にありがとうございました(?)な行動は自重しましょう。こういった行動は時と場合によっては戦略的に正しいこともありますが、そういう場合にしても仲間とよく相談してから行うべきです。
▼話の大筋を把握する
セッション中には様々なネタが転がっています。それはキャラクターの行動であったり、NPCの設定だったり、はたまたプレイヤーやゲームマスターの言い間違い、勘違いかもしれません。そういった様々なネタから話を広げて笑いを取るのがイロモノのプレイスタイルの一つです。この行動はセッションに笑いを添えてくれますが、セッション進行として見ると脱線していると言えます。また、興が乗りすぎると話があらぬ方向へ(しかもどんどんイロモノな方向へ)と転がっていくこともあります。このような事態になってしまうことが常に好ましいというわけではありません。
ということで、イロモノをプレイする場合は特に話の大筋を把握しておく必要があります。話の脱線を適当なところで切り上げ、本筋に戻すのも実はイロモノキャラクターの役目です。自分で広げた風呂敷は基本的に自分で畳むべきです。もちろん、他の人が好意的にその風呂敷を畳んでくれるのならばそうしてもらっても構いませんが、それを強要するのは困った人のすることです。
また、一通り話の脱線を楽しんだ後、「今、俺達何してたんだっけ?」となることもあります。そうなったときのフォローもしっかりとしておきましょう。現状を忘れるほど自分のネタで笑ってくれたのですから、その後のフォローも忘れずに。
我が心の師匠(イロモノ担当)と私が勝手に思っている
田中天さんのプレイは、一見好き勝手やっているように見えますが、話の大筋は壊さないようにプレイしています。かなり濃密な空間を形成し、本筋とはあまり関係ない所で壮大な話を作り、それでも最後はきちんと本筋に戻す、その見極めと技量が高いから成せる業と言えましょう。ただし、その技量が高すぎるため中途半端にマネをすると、暴走した挙句投げっぱなしスープレックスという非常に困った状態になるので、良い子も悪い子も安易にマネしないように。巷でよく言われる「
天プレイ」という言葉は、主に田中天さんのプレイをマネしてセッションをつまらなくしてしまったPLのことを指すことが多く、褒め言葉として使われることは少ないです。そういう意味では田中天さんに対しては失礼な言葉ですね天プレイ。「天もどき」とか「劣化天プレイ」とか「偽田中天地獄の大行進」とかにしたほうがいいんじゃないかと思う次第ですが。え、もっと失礼?
▼決める所は決める
セッション中、話がシリアスな方向へと進んでいくと、なかなかイロモノの出る幕はありません。また、そういう話の展開の場合、キャラクター一人一人にシリアスな反応を求める場面もあります。そういう時はいつものようにイロモノを通すのではなく、きちんとしたシリアスな反応を返すように心がけましょう。その上で、キャラクターらしさを出せればモアベター。自分がイロモノをやっている間、他のプレイヤーはシリアスな部分を抑えてくれていますので、シリアスな場面ではシリアスなキャラクターに合わせるようにするべきです。
また、こうすることでセッションにメリハリがつきます。笑いありシリアスありの対比による相乗効果は、笑いだけ、シリアスだけのセッションよりもきっと楽しくなることでしょう。
▼話を進めるのにイロモノは非常に有効である
セッション中にシナリオの進行に必要なイベントとして、PC達に不利な状況を与える場面や、不確定要素・不安要素が多くて判断に困るような場面があります。例えば、この先に進む扉に罠があるとわかっているが解除に失敗している、仕事の依頼人がどうもうさんくさい等の場面です。こういう場面では、不利になるとわかっている、もしくは先の予想がしづらいためPC達は消極的になりがちです。
このような時、イロモノキャラは話を進めるために敢えて不利な状況に陥るのにはうってつけの人材と言えます。前述したとおり、イロモノキャラの傾向として不利な行動を取りたがり、さらにその傾向は大抵のPL達は知っています。また、イロモノキャラはそういう不利な場面へ突っ込むための取っ掛かりが容易に発見できます。ちょっとした早とちりで罠にかかったり、依頼人が美女だっただけで二つ返事で依頼を受けてしまうことなど朝飯前なのです。
ただし、PL自身はよく考えてから行動しましょう。セッションを進行させるメリットとそれによりPC達が被るデメリットを天秤にかける作業は忘れてはいけません。もし、あまりにもデメリットが大きい場合は、大抵シナリオに救済措置か抜け道が用意されていることが殆どです。八方手を尽くして難関を乗り越える趣旨のシナリオで、その難関を力技で破壊するような行為は好ましくありません。
■今日のまとめ
さて、心得についてつらつらと書きましたが、重要な部分は以下の2点です。
・イロモノは普通のプレイが出来てこそ生きる。
出来ない者はイロモノを免罪符にする前に普通のプレイができるようになること。
・イロモノをセッションにとって「邪魔者」にするようなプレイはしない。
この2点を意識していれば、おのずと今まで書いた心得は身に付くと思います。
ちなみに、これらの心得は実はイロモノに限った話では無いのでイロモノをプレイしない方でもそれなりに有用だと思います。
それでは今回はこの辺で。